「世のため人のために」できること
光技術のリーディングカンパニー「浜松ホトニクス株式会社」に2001年に入社し、研究開発に携わりました。「PET(陽電子断層撮影)装置」と呼ばれる、がんや認知症などを見つけることができる先進的装置の研究開発を15年間、行いました。それは、「がんや認知症で苦しむ方々を助けたい」という一心で選んだ道でした。「浜松PET診断センター」の立ち上げにも携わらせていただき、地域の方々のためにと仕事に邁進してまいりました。
地域の未来を考える
仕事に取り組む根底には、「どうすれば、地域に貢献できるだろう?」という気持ちがありました。地域のリーダーの皆様と、これからの浜松市について考える機会をいただき地域づくりに携わることが増えていきました。地域の課題に対するソリューションを持続可能な活動にするためには、事業へと成長させることが必要だと感じるようになりました。
浜松市が抱える課題、そして自分の使命
2013年3月、30年後の浜松市の構想と計画を検討するための「浜松市未来デザイン会議」が設置されました。私は、委員に選出いただき、同年9月より参加させてもらいました。同じく委員として選出された天竜のきこりの方と出会いました。天竜といえば、浜松北部に位置するスギの名産地です。日本の三大美林に数えられ、天竜杉は日本を代表する木材ブランドとして愛されてきました。そんな天竜杉も、最盛期に比べて、木材自体の需要が減っていると聞きます。「林業をもっと良くしたい」というきこりの方の想いに触れました。
「自分が持つ技術者の視点を活用できれば、天竜の木材に新たな価値を生み出せるかもしれない」と考え、自分の使命を感じました。そのような折、光産業創成大学院大学で 、光技術の研究を重ねながら、ベンチャーを興して事業化する方法があることを知りました。
「林業×テクノロジー」の可能性に気付く
2015年4月、光技術を用いた木質系材料の研究開発および起業のため、光産業創成大学院大学(浜松市)へ入学しました。さまざまな方とのつながりを得て、木材の乾燥に関する技術が求められていることを知りました。木材に、レーザーで無数の穴をあけることで乾燥を促進させる技術の研究を行うことになりました。学内での研究と実験の日々を経て、2016年秋、当該技術によるビジネスプランを考案しました。地元の金融機関が主催するビジネスコンテストで発表したところ、創業部門で優秀賞をいただきました。
「始動」で視座を上げる
2017年2月には、法人化。同年7月に、経済産業省が主催する、グローバル起業家等育成プログラムの「始動NextInnovator2017(以下、「始動2017」)」にも参加しました。「始動2017」では、革新的なベンチャーを生み出し続けるシリコンバレーで、2週間にわたり起業家精神を養います。私も、当地の投資家や起業家と意見を交換する中で、「宇宙産業など、今後伸びていく産業に木材をマーケットインさせる」という新たな視点を得ました。「始動2017」で得たネットワークも、大きな財産となっています。
里灯都が描くビジョン
現在は、木材の需要を興して地域に貢献することをミッションに、林業で新たな社会を創りたいと考えています。山「里」に光を「灯」し、すべての人が輝いて暮らせる「都」(社会)を可能とする事業の創出に、皆様とともに取り組む日々です。